自動車を運転していて、車線変更などをする車をあいだに入れてあげ
ると、ハザードランプで『お礼の合図』をしてくれるひとがいる。
お互い顔も知らないし、声もわからない、今後もまったく接点のない関
係にもかかわらず相手の好意に対し敬意を表する、とても気持ちのい
いものだ。
逆に間違い電話をしておいて、なにも言わずに切ってしまうひともいる。
それもいちいち腹を立てていたらやっていられないくらい多い。
ひとことお詫びの言葉を言うことすらできないひとが多いのだ。
じつはわたしはあまり挨拶が好きではない。さきのお礼やお詫びの挨
拶はともかく、「おはようございます」や「こんにちは」なんてのはむしろ
相手と一定の距離を置くことの意思表示をしているような気がするのだ。
だから本当に親しい関係のひととは挨拶などしない。もっともそこまで親
しい関係はいまではそうとう限られているが、高校生時代などはみんな
誰も挨拶などしなかった。男子校だったせいもあるだろうが、それがお互
い干渉しない"成熟した"関係の現われだと思っていた。
でもそれは若いときの話だ。大人になったいまはむしろ積極的に挨拶を
交わすことでお互いの存在を尊重しあうことが大事だと考えている。
もちろん、いまでも挨拶のいらない人間関係もあるが。

