奇跡の予感漂う大甲子園、快音を残して放たれたライナーはそれをかき消
すように三塁手のグラブに収まった。
このとき三塁ベース上の伊藤の目にひざから崩れ落ちた若林の姿ははどう
映っただろう?
新潟県の山形県境にちかい山間の村・関川。村にただひとつしかない中学
でバッテリーを組み、県大会で準優勝。ふたりの夢は大きく膨らんだ。
「いっしょに甲子園へ行こう。」
念願は叶った。今春のセンバツに出場。しかし、優勝した清峰に完封負け。
しかしこの敗戦をムダにはしなかった。日本文理は雄々しく立ち直り、春
夏連続出場を果たした。
そして新潟県勢としては春夏通じて初という決勝戦に駒を進め、一時は7
点差とされながら、9回二死からの怒涛の反撃で1点差までせまった。
敗れたとはいえ、決して"野球留学校"でもない地方の高校がこれだけの完
成度の高いチームに仕上がったことは多くのおなじような条件下の高校の
励みになるだろう。

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