1995年、ヤクルトとオリックスの日本シリーズはヤクルトの3連勝で
第4戦をむかえた。試合は1-1で延長戦に入り、11回裏一死一二
塁とヤクルトはサヨナラのチャンスをつかんだ。
マウンド上は小林宏24歳。対するはヤクルトの主砲、トーマス・オマ
リー34歳。阪神・淡路大震災の起こったこの年、神宮球場でプロ野球
史上に残る一打席限りの名勝負が繰り広げられた。
小林は簡単に2ストライクをとった後、オマリーにファールで粘られる。
しかも徐々にタイミングが合ってきているファールだ。7球目、12球目
にはライトポール際に大ファールを打たれている。
選球眼のいいオマリーはボール球に手を出さない。徐々に手詰まりに
なった小林はカウントを悪くしていく。
しかし、小林のこころは折れなかった。2-3からの14球目、低めのボ
ールとみられるストレートにオマリーのバットは空を切った。
最後の球は少し球速が落ちていて、決してよい球ではなかった。月並
みの表現だが、小林の気迫がオマリーに勝ったのだろう。
結局この試合はオリックスが勝ち、対戦成績を1勝3敗としたが、第5
戦を落とし、シリーズには敗れた。
しかし、なんとなくこのシリーズはオリックスが勝ったような錯覚を抱い
ているひとも多いのではなかろうか? それほどこの一打席は大きなイ
ンパクトがあった。






