この型破りで印象的なフレーズで始まる井上陽水の『傘がない』。
筑紫哲也さんはこの曲を聴いてそんな若者が社会に関心を持ってもら
えるニュース番組を作りたいと考えたと言われています。
でも、それは本音かな? とわたしは疑っています。
筑紫さんはかつて『最後のニュース』のことを陽水さんに「あれは"ラブ
ソング"でしょ?」とたずねたことがあります。『最後のニュース』は『傘が
ない』の延長線上にある曲だと踏まえると、筑紫さんも本当は『傘がな
い』は"ラブ・ソング"だと思っていたのではないでしょうか?
筑紫さんに対しては左右いろいろな方から賛否両論がありましたが、個
人的には『ジャーナリスト』としてではなく、ひとりの『にんげん』としてバ
ランスのとれた方だなと思っていました。「社会を正す」(カギ括弧つき
の)『ジャーナリスト』としてよりも、むしろ情にあふれた一個人としての筑
紫さんにつねづね魅力を感じていました。
筑紫さんが『傘がない』を好きな理由は自分自身が『ジャーナリスト』であ
る前に『にんげん』であることをよく理解していたからではないでしょうか?
遅ればせながら、ご冥福をお祈りします。

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