長谷川のパンチはよく観ていないとクリーン・ヒットを観逃してしまう。
パンチ前の初動が極端に小さいのだ。いわゆるノーモーションであ
らゆる角度からパンチが飛んでくる。そして回転が速い。
それにしても今日の試合はあっけなかった。数発いいパンチは当た
っていたが、フィニッシュに直接つながったのは挑戦者がバランスを
崩して倒れかけた際に放った左ストレートだった。
次は指名試合、しかもまた苦手なサウスポーだという。これまでまっ
たく危なげない試合が続いているので、指名試合でさえいまの長谷
川には難関にも感じないが、これに勝てばいよいよアメリカ進出だろ
うか?
一方、粟生は文字通り大魚を逃した感じだ。4ラウンドの時点で減点
を含めて少なくとも2ポイントはリードしていると思ったし、チャンピオ
ンのダウンは相当効いていた。前半の闘い方でこのままいけると思っ
たが、途中採点は思ったほど差が開いていなかった。それを見て粟
生はさらに積極的に攻めざるを得なくなった。
結果、チャンピオンのパンチをもらいやすくなり、大事な終盤の攻勢を
かけることができないほどダメージを負ってしまった。また、前半有効
だったボディ攻撃が減ってしまったのももったいなかった。
あのまま前半の闘い方をしていたらどうなっていただろうか? わたし
は勝てたんじゃないかと思う。
まぁ、粟生にはまだチャンスがあるだろう。これまでの実績はダテじゃ
なかった。

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