4年前、ギリシャ優勝がもたらしたもの、それは驚愕と失望であった。
最後尾にスイーパーを置いて、前のふたりがストッパーで相手FWを
マンマークするという"超"古典的ディフェンススタイル。攻撃といえば、
セットプレーかサイドからの放り込みに高さを生かしたヘディングくら
い。
しかし、彼らはそれでヨーロッパを制してしまった。
サッカーをよく知るものはこんなスタイルがこれからのサッカーの潮流
になるわけがないと思っただろう。現代サッカーの主流戦術では絶対
にヨーロッパ列強に勝てないと踏んだオットー・レーハーゲルが、まさ
に現代サッカーのアンチテーゼとして取った策がまんまと的中したの
である。
では、今回優勝したスペインはどうか? ボールを高い位置で奪い、あ
まり手数をかけずにゴールを狙うのが現代サッカーの主流といえるだ
ろう。その意味では予選リーグで大活躍したオランダはまさにそれを実
践した。
しかし、オランダは準々決勝であっさり姿を消した。
スペインが今回観せたスタイルはいわゆる『ポゼッションサッカー』であ
った。ボールをできるだけ支配し、短いパスを繋ぐなかで相手ディフェン
スの穴を探りながら、急所を突いていくサッカーである。
巧みなフェイントやドリブルは少ない。しかし、相手にボールを取らせな
いなかで、徐々に相手のディフェンスへの集中力を奪っていくことは、選
手個人に高い状況判断能力が要求される。
スペインの選手(とくに中盤)はその能力が長けていた。
考えてみれば、日本代表が長年やりたかったことって突き詰めてみれ
ばこの『ポゼッションサッカー』ではなかったか? 確かにフィジカルに
恵まれない日本人選手にとって可能性の比較的高い戦術ではある。
しかし、スペインにはフェルナンド・トーレス、ビジャという卓越した能力
のあるCFがいた。日本の中盤は確かにレベルが上がってきている。
しかし、最終的にゴールを決めるかはやはりFWの能力にかかっている。
スペインサッカーを手本にするのもいいが、それには能力のあるFWの
育成が急務である。
なんにしても、今回のスペインの優勝は前回失望した多くのサッカーフ
ァンに希望を与えてくれた。
ただ、この『ポゼッションサッカー』が世界の潮流になることはないだろう。
それだけ今回のスペインは格別にタレントがそろっていた。

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