高校のときの部活のランニングコースは3種類あった。
5キロコース、7.5キロコース、12.5キロコースである。
ピッチャーは7.5キロを日課として走っていたと思うがほかの
ひとのことは知らない。
12.5キロは夏場の合宿一週間のうち3回のノルマがあった
はずだがほかのひとのことは知らない。
夏場は日本全国でも指折りの猛暑となる土地なので、これは
かなりハードだったが、それでも持久力が強いのでわたしの
場合はまだ楽なほうだったろう。
3年になって考えてみた。走ることってピッチングにそんなに大
事なのか? そんな時間があれば筋トレでもしてたほうがいい
んじゃないか? そんなふうに考えて、日課のランニングを5キ
ロにしてしまった。
いまそのことの過ちに気づいて後悔している。
たくさん走ることが肉体的に意味がなくても精神的には大きな
意味があるのではないか? 実際毎日7.5キロ走るという苦難
を与えたためにもともとピッチャーなんてできるメンタルを持ち合
わせていなかった自分がマウンド上で受けるプレッシャーに耐
えうる精神的な強さを得ることができたのだ、といまは考える。
母校を甲子園へ導いた偉大なる先輩は当時からそのような考え
で自宅から学校まで、雨の日もひとり黙々と走りこんだという。
わたしの永遠のヒーロー、京都商業の井口さんも同じようなこと
を言っていた。
古くさいと思われるかもしれないが“こころを鍛える”って実はと
ても難しくてそして大事なことなんだと思う。それは『禅』の世界
に近いのかもしれない。
もしあのころに戻れるならひたすら走ってみたい。投げ込みや筋
トレは運動生理学的に限界があるかもしれないが、走りすぎで体
を壊すことはないだろうから。

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