高校時代のわたしのストレートはホント遅かった。
それはフォームに欠陥があるからだとは分かって
いたのだが、どうしても直せないでいた。
それがあるときだけ奇跡が起きたのである。
あれは2年の夏、聖望学園との練習試合をしに
飯能へ遠征したときだった。聖望学園はいまで
こそ甲子園に出たり、プロ野球選手(横浜の門倉)
を輩出したりしているが当時はまったくの無名校
だった。
でもやはりそこそこは強くて第1試合はたしか
負けたはずだ。しかも珍しくうちのエースが
ホームランを打たれたと思う。
第2試合はひょっとしたら先発かなと思っていたが
たしか1年生が投げてたと思う。
おそらく途中で出番があるだろうなと思いブルペンで
肩をつくり始めた。
すると、何かが違うのである。
徐々に力を入れて投げていると明らかにいつもと
違うのである。
そして全力投球をしてみた。
明らかに速い!
これはわたしの勘違いではない。なぜならキャッチャーが
「はえぇ~」と言ったのが聞こえたからである。
その日はいつもどおりカーブも切れていた。
もしあのときマウンドに上がってたら絶対打たれなかった
と思う。
残念ながらその感覚は不思議なことにそのときだけだった。
神様が哀れに思って一瞬だけ「本格派」にしてくれたのかも
しれない。
憧れの本格派
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